《A Trick Of the Tail》


「この曲はビートルズの”Getting Better”に影響を受けて作ったんだ」(バンクス)

たしかにGetting Betterですね。ラザフォードのベースラインがマッカートニー的です。

このA Trick Of the Tailのストーリーは、ウィリアム・ゴールディングの小説 ”The Inheritors” が元になっています。

”The Inheritors”は、淘汰されつつあるネアンデルタール人が、彼らより進化しているホモ・サピエンスとファーストコンタクトしたときの困惑を描いている空想小説です。

“ビースト”は自分の棲む”黄金の国”に飽きていた。
新しい友達を探そうと旅に出る。
たどりついた地にいたのは・・・

彼らは一体何者だ?ツノも尻尾もない!
黄金の国なんか信じてた僕が悪かったのか?

人間はビーストを捕え、見世物小屋の檻に放り込む。
しゃべれるケダモノ!サインが読めるオバケ!¥

しかし人間たちは、そんな”言葉を話すビースト”にもやがて飽きてしまう。「どうせインチキだろ?」

そして言う、「黄金の国だって?そんなものあるもんか。俺たちをそこへ連れて行って証明してみろ!」

おまえたちの乏しい想像力の及ばないところに
輝く黄金の街があるんだ
見せてやるとも 僕のふるさとを
見せてやるとも 僕の仲間を
どうして僕は ふるさとを飛び出しちゃったんだろう?

ビーストに連れられて、その”黄金の街”があるという山の頂に着いてみると・・
ビーストは姿を消してしまったのだ。。

この曲といい、”Squonk”といい、”Ripples”といい、ジェネシスの詞の世界は『消えてなくなる』『衰えて滅びる』『夢かうつつか幻か・・』というモチーフがよく使われていることが、あらためて分かりました。

アルバム“A Trick Of The Tail”は、”ファンタジー路線のジェネシス”の到達点、といえるのではないでしょうか?
ジェネシスはこのあと大きく舵をきって、よりドラマティックな路線へと進み、それが”静寂の嵐”になるのでしょう。

~おしまい~

次回はその”静寂の嵐”を研究してみようと思います!


コメントを残す