DAY-13 : 音楽は人の人生を変えられるか?
最後のしめくくりをしましょう。
人生を変えるほどの音楽って、いったいどんなものなんでしょうか?
音楽は、人の人生を変えられるのでしょうか?
僕は、
「音楽には、そんなだいそれた力はないよ」
と思っています。
人の生き方を変えるなんて、ムリムリ!!
人が自分の生き方を変えるのは、やっぱり自分自身です。
ただ、大きく変化したいとき、人は誰かに背中を押してもらいたいのです。
その背中の後押しを、音楽は担っているのでしょうね。
その証拠に、音楽自身が「よ〜し、世界を変えてやるぞ!」と考えて生まれてくることは、ありません。
だいたいにおいて、「ねぇ、こんなカンジの音楽、作ってくれない?」という ”発注” から始まるのです。
つまり、音楽自身も、誰かに背中を押されてはじめて、生まれるものなのです。
——
私たちが生まれた1960年代、そして激動の少年時代を走った1970年代、そして最高の青春時代を過ごした1980年代は、音楽が最高に活発な時代でした。
欧米のロックやポップスは、この時代にほぼ完成してしまいました。日本においても、60〜80年代は、歌謡曲も演歌も大豊作で、しかもニューミュージックというジャンルも生み出しました。
レコード店が情報発信基地だった時代なのです。
オーディオの世界も、経済成長に合わせて、テクノロジーがピークに達しました。なので、電気店の販売を伸ばすためには、いい音楽が必要だったのです。
——
いつも申し上げておりますように、私たちは、音楽がもっとも輝いていた時代とその記憶を共有している、かけがえのない仲間だ、ということです。
音楽が人生を変えているのではありません。
同じ音楽を共有している私たち自身が、お互いの背中を押しあって元気づけあっているわけです。
ご静聴ありがとうございました。