出口浩明《世界史の10人》


出口先生は中央アジアの歴史がよっぽどお好きなのか、数千年にわたるイスラム世界の解説・描写が実に面白くて生き生きとしててドラマティックロマンティック。何回読んでも楽しい。

この本を読むと、世界の中心は実はキリスト教圏ではなく、イスラム教圏なのではないか?という気もしてくる。とくにこの21世紀は。

キリスト教世界はやっと2000年でようやく安定してきたに過ぎず、イスラムなんかはまだ1400年しか経ってない。まだまだ発展途上なのである。

実際、歴史ファン的視点でみれば、現代の中央アジアの激動、特にロシアとシリア(アッバース朝)、トルコ(オスマン朝)、モンゴルを始原とするトルクメニスタン・ウズベキスタン、ササン朝ペルシャを始原とするイラン・イラク、中国(唐・元・宋)、の対立と緊張は、全然真新しいことではなく、1500年前にも何回も起きていたことなのである。

イスラム教世界が現在非常に不安定な状態なのも、数千年の歴史を俯瞰する目で見てみれば、「大きく発展・変化しようとしている時代」と評価することができるかもしれない。

今から1000年後、30世紀の世界。そのときの歴史家はきっと『21世紀は「イスラムが大きく発展した時代」。多くの勢力が勃興し、それまでに完成・安定していたキリスト教圏は大きく変化を余儀なくされた時代』というタイトルをつけて、いろんな角度から再評価していることだろう。

歴史ファンのみなさんにはぜひともおすすめしたい、ライフネット生命CEOの出口治明”先生”の『世界史の10人』。です。


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