《天使のため息》
今日鑑賞するのは、1999年作の《天使のため息》です。
竹内まりやの詞の世界のなかで『死』をテーマにしたものは非常に珍しく、おそらくこれが最初の曲だと思います。
竹内まりやさん自身も「この曲を作るのはとても苦労した」と話しておられます。
まぶたを閉じれば 浮かぶふたりの歴史を
今でもこんなに 近くに感じてる
春の日のくちづけと 夏の夜のときめきと
けんかしたあの秋と 幸せな冬の朝
人はなぜ皆 失って 初めて気づくの
見えない糸で 結ばれた 愛の重さに
もう少しそばにいて 私を守って
偶然と呼ばれる出来事は 何もなくて
出会いも別れも 最初に決まってる
束の間の喜びと 戯れを引きかえに
永遠の恋だって 奪われてゆくことも….
人はなぜ皆 淋しさを 抱えて生きるの
たった今来た 道さえも 迷路の始まり
光の当たる場所 いつも探してる
懐かしい あの歌が どこからか 流れてく
何もかも 美しい 思い出に 変わるけど
人はなぜ皆 限りある 命を燃やすの
天使のようなため息で 最後につぶやく
再び会う為の 短いさよなら
あなたにさよなら 忘れないでね
では詳しく鑑賞していきましょう。
春の日のくちづけと 夏の夜のときめきと
けんかしたあの秋と 幸せな冬の朝
大切な人をすごした年月を、春夏秋冬の季節の流れで表現しています。
さて、歌詞で『死』という単語を使うのは非常に難しく、これをどう言い換えるかがいつも工夫が必要な部分です。
この曲では
人はなぜ皆 限りある 命を燃やすの
という表現を使っています。
臨終の間際の最後のひとこと。これを聞き洩らすまいとするものですが、これを『天使のようなため息』という言葉で、はかなくもか細い声を表現しています。
天使のようなため息で 最後につぶやく
再び会う為の 短いさよなら
あなたにさよなら 忘れないでね