《返信》
今日鑑賞するのは、2006年作の《返信》です。
この曲は横山秀夫原作の小説『出口のない海』を映画化したものの主題歌です。
人間魚雷の渡航で命を落としていった若者たちを描いた戦争映画です。
主人公(市川海老蔵)が書き残した手紙に対して、恋人(上野樹里)からの心の返信、という情景です。
この『出口のない海』は、小説も映画も非常に素晴らしいものでした。

大好きな ほほえみを 失った今でも
心が覚えてる 温かいあなたの手
残された 文字とともに….
あの頃と 変わらずに きらめく海には
戻らない青春が いつまでも眠ってる
人は皆 生まれ来た 瞬間(とき)からもうすでに
この海へ 還ること 決められているけど
夢なかば 燃え尽きた あなたのぶんまで
生きていく 約束を 守るから見ていてね
託された 幸せを つかむことがもし
あなたの願いなら それを探してみるわ
淋しくて 恋しくて 泣きそうな夜には
会いに来て 抱きしめて 幻でいいから
いつの日か その胸に 戻ってゆけると
信じればまた今日も 夕凪が美しい
読まれない この手紙 それでも書かせて
永遠の愛をこめた 私からの返信
魂に届くように
さて、じっくりと鑑賞していきましょう。
…..きらめく海には
戻らない青春が いつまでも眠ってる
夢なかば 燃え尽きた あなた….
特攻隊として海に散っていった若者の魂のことを表現しています。
さて、この楽曲のほうで特に素晴らしいのは、大きな和太鼓がひとつ、孤独に悲しげにドン….ドン….ドン….と鳴り響いている部分です。
この和太鼓は”日本人の若者の魂”を表現している部分で、それが遠くから聞こえているのは、まさに海の向こうから若者の魂が呼びかけている情景を表現しています。山下達郎のアレンジの素晴らしい部分です。