《チャンスの前髪》
今日鑑賞するのは、2007年作の《チャンスの前髪》です。
この曲はテレビドラマ『肩ごしの恋人』の主題歌でした。
女性の40代って、「なんでも話せる友だち」がとても大切な年頃です。
どちらかが家庭に入っていたり、またはお仕事をがんばっていたり、状況はさまざまですが、そうした違いを超えて「なんでも話せる」「言わなくてもわかってる」親友というのは、とても貴重な存在です。
こういう「なんでも話せる友だち」というのが、実は男性にはあんまりないんじゃないのかな?女性独特の世界なのです。
なにかひとつだけ 選びとったなら
そのほかのもの 捨てなきゃダメと
言っている私が ホントは迷ってる
ベストの答えなんて どこにもないのに
あなたを見てると ハラハラするのよ
そんな無防備に生きられるなんて
石橋たたいて それでも渡れない 私のような小心者の心得は
見つけたチャンスを 逃さずつかむこと 後悔だけは残したくないの
呆れるぐらいに 正反対だから
キャラの違いが 二人をつなぐ
女同士ならの するどい直感で
考えてることは 互いにわかるの
あなたは私を 買い被りすぎよ
くよくよするのを 見せたくないだけ
石橋たたかず 渡ってしまうのも 時には明るい未来につながるはずね
助け合えばほら 怖いもの知らずの 自分になれる勇気が出てきた
(I’m OK) (I’m OK, too)
Oh チャンスの神様は 前髪しかないから
通り過ぎたら 手に入れることは無理よ
力を合わせて それをつかむために
二人がかりで 生きるなんてどう?
Take your chance!!
Make your choice!!
Take your chance!!
Make your choice!!
この情景には「ハラハラするほど無防備なあなた」と「石橋たたいても渡れない私」の二人が登場します。
でもこれは特に”両極端なふたり”の話ではなくて、誰にでも「慎重すぎる自分」と「大胆すぎる自分」が共存しているものです。
ここに登場する二人も、そんな両面的な個性をそれぞれが持っていて、互いにかけあっているわけですね。
そして、
呆れるぐらいに 正反対だから
キャラの違いが 二人をつなぐ
助け合えばほら 怖いもの知らずの 自分になれる勇気が出てきた
力を合わせて それをつかむために
二人がかりで 生きるなんてどう?
お互いのダメな部分を補いながら、一緒に前に進んでいこうよ
というふうに、ふたりの親友を応援しているわけですね。
竹内まりやの詞の世界に出てくる女性はいつもとてもサバサバしています。「意外と男らしい」というか….
しかしそう”男らしい”といえばそうでもなく、クヨクヨしている部分もあり。
いろんな多面性を含んでいて、とてもチャーミングですよね。
この《チャンスの前髪》は、《人生の扉》とのカップリングでシングルCDで発売されましたが、このジャケットのイラストと題字は緒形拳さんによって描かれたものです。

緒形拳さんはこのあとしばらくしてお亡くなりになられました。
そう考えると、この《チャンスの前髪》のテーマの重みもひとしおに感じられます。