《家に帰ろう(マイ・スイート・ホーム)》


今日鑑賞するのは、1992年作の《家に帰ろう(マイ・スイート・ホーム)》です。
この曲は「木曜日の食卓」というホームドラマの主題歌でした。
“ホームドラマ”というジャンルが大人気だった時代、という点も重要です。

恋するには遅すぎると 言われる私でも
遠いあの日に 迷い込みたい気分になるのよ

キスすることもなくなった 初恋のあなたが
嫌いになったわけじゃないけど 素直になれないの

冷蔵庫の中で 凍りかけた愛を
温めなおしたいのに
見る夢が違う 着る服が違う
いちどは信じ合えた ふたりなら

心帰る場所はひとつ
いつもの My sweet sweet home

幻だけの恋ならば 100回でもできる
それならふたり ここで暮らそう 100才になるまで

居心地の良さに 決して甘えないで
やさしさも忘れないで

好きな歌違う 選ぶ絵も違う
でもいちばん 私を知っている

見飽きたはずの あなたでも
いとしい My Sweet sweet home

冷蔵庫の中で 凍りかけた愛を
温めなおしたいのに
見る夢が違う 着る服が違う
いちどは信じ合えた ふたりなら

心帰る場所はひとつ
いつもの My sweet sweet home
いつもの My sweet sweet home
いとしい My sweet sweet home

ごらんのとおり、30代か40代、結婚10年ぐらいの”倦怠期”の夫婦を元気づける歌ですが、

キスすることもなくなった 初恋のあなたが
嫌いになったわけじゃないけど 素直になれないの

というように、初恋の人と結婚しているピュアな女性が主人公です。
この点も重要です。竹内まりやの詞の世界では「危ない恋もたくさんしてきた」ドラマチックな女性が主な主人公なのですが、この《家に帰ろう》だけは、初恋の人と結婚した女性が主人公なのです。
それを踏まえると、このあとのストーリーがたいへん重いことがよくわかります。
そして、

冷蔵庫の中で 凍りかけた愛を
温めなおしたいのに

J-POPの曲、しかもラブソングの歌詞に《冷蔵庫》という言葉が出てくるのは、おそらくこの《家に帰ろう》しかないんじゃないか?と思います。
家庭の中、しかもキッチンが舞台なんです。
こんなナマナマしい現実的な場所から出発するラブソング、他にありますか??

見る夢が違う 着る服が違う
いちどは信じ合えた ふたりなら

心帰る場所はひとつ
いつもの My sweet sweet home

「どんなに愛し合って結婚した夫婦とはいっても、性格も趣味も違うのはあたりまえじゃないの」
「そんな二人が安心して帰ってこれる場所は、まさにここ。この家、このキッチンなのよ」

と、思いっきりすべてを受け止めてくれている、心の大きな奥様です。

さらにそれだけでなくもう一回、

幻だけの恋ならば 100回でもできる
それならふたり ここで暮らそう 100才になるまで

と、ダメ出しのように「ここで暮らそうよ」励ましてくれています。
「幻だけの恋」というのは、どこの旦那サマでも一度や二度は気の迷いで陥ってしまう「不倫」のことです。

それを否定するのではなく、「それよりもここで暮らそうよ!」と笑顔で背中を押してくれるのです。
こんな懐の広い奥様、大事にしないといけません。

見飽きたはずの あなたでも
いとしい My Sweet sweet home

ここで奥様は
「そりゃぁ私だって、”見飽きた”といえば”見飽きた”けどね・・」と、ポロっと本音も語っていますが、
「でもあなたと、あなたのいるこの家がいちばん愛しいわ」
と。
海よりも広い妻の愛です。

他の曲にも共通しますが、竹内まりやの世界に登場する”奥様”は、自分の家庭や家族にしっかり軸足を置いています。ホームグラウンドは必ず家庭と家族なのです。

そして、ビックリするほどに心が広いですね。
たとえどんなにご主人が不倫しても、「それでも私はあなたを愛しているわ」と微笑んでくれるのです。

現実の奥様はこんなに心が広くいられるのでしょうか?ちょっと私からはなんとも言えませんが、
「それが何十年も平和で幸福でありつづける秘訣なのよ」
と言われれば、確かにそうかもしれません。

私が特に感じるのは、
「奥様がこんなに海よりも広い心で受け入れてくれているのに、旦那サマがそれを理解しないで不倫にウツツを抜かすのは、本当に申し訳ないよ」
ということです。

もうひとつ。
竹内まりやの詞の世界に登場する”心の広い奥様”は、決して特別なものではない。架空の世界でもない。ということ。

あなたの奥様も同じ想いをお持ちなんですよ、ということです。

もうひとつ。
竹内まりやの詞の世界に登場する”心の広い奥様”は、決して特別なものではない。架空の世界でもない。ということ。

あなたの奥様も同じ想いをお持ちなんですよ、ということです。

この曲の舞台は、終始一貫して「おうちのキッチン」でした。冷蔵庫の前でした。

キッチンのテーブルで奥様と旦那様が話し合っている場面なのでしょうね。

奥様はずっと明るい笑顔です。この奥様は、あなたが「初恋の男性」なんですよ。わかります??

この《家に帰ろう》は、倦怠期に入った奥様を励ましているだけでなく、旦那様に対しても「奥様をもっと愛してあげてね」と応援してくれている歌です。


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