《恋はじめまして》
今日鑑賞するのは、竹内まりやが1984年に岡田有希子に提供した《恋はじめまして》です。
この曲のすごいところはまず、アイドル歌謡曲で『ママ』が登場するところです。この点で「ちょっとクラスが上の、よい家柄のお嬢様」というイメージが設定されていることがわかりますね。
ママの選ぶドレスは 似合わない年頃よ
口紅をつけたこと ママには内緒よ
またこの曲では、特定の”片想いの男の子”は登場しません。出てきても”ロケットにしのばせた写真”だけでほんの少しチラリと見えるだけです。
つまりこの曲は、具体的な初恋ではなく、それ以前、「恋に恋している女の子」を表現しています。
またこの曲のストーリーの舞台は、”彼女の部屋”だけです。とても小さな女の子の秘密の世界で、大人になりたい夢を見ている情景、ということになります。
また、「テレフォン」「ダイアリー」という”ヨコ文字”を使っている点で、ちょっと日本人ばなれしている点が素晴らしいですね。
「電話」「日記」ではないのです。
これらの工夫が実に竹内まりやらしい、たとえばコニー・フランシスの《ボーイ・ハント (Where The Boys Are)》のようなオールディーズのスタンダードの流れを汲んだようなテイストの曲だ、といえる点だと思います。
ママの選ぶドレスは 似合わない年頃よ
いつまでも子供だと 思わないでおいてネ
ピンクのマニキュアさえ まだまだおあずけなの
少しずつ この胸が ときめいてるのに
恋したら 誰だって きれいになりたい
素敵なレディに 変わる日を夢みてる
ロケットにしのばせた 写真を見つめながら
今日もまた ため息で ひとこと ”おやすみ”
真夜中のテレフォンも 許してくれない
いつになったなら 自由に会えるのかナ・・・
大人へのステップを 歩き始めてるのに
わかってはもらえない 私のこの気持ち
鏡の前にすわり ふるえる指でそっと
口紅をつけたこと ママには内緒よ
恋したら 誰だって きれいになりたい
素敵なレディに 変わる日を夢みてる
ひき出しの奥にある 私だけのダイアリー
片隅に書きこんだ ひとこと I Love You・・・
片隅に書きこんだ ひとこと I Love You・・・