はじめに〜作家としての”竹内まりや”を詞の世界から鑑賞してみる
竹内まりやのベストアルバムとしては2008年に《Expressions》がリリースされていて(しかもこれもバカ売れしましたが)、このあとの10年間でレパートリーがそんなに増えてるわけではないので、ベストアルバムとしての《Turntable》はそう真新しいものではないです。
かくいう私も「どうせ未発表音源などを寄せ集めただけだろう」とナメておりました。実際、「別に買わなくてもいいだろう」とも思っておりました。
が・・!
いや〜このベストアルバム、ハンパない破壊力があるわ!ただのベストアルバムではない!
そう感じております。
さてさて、女性J-POPシンガーのベストアルバムとして最高峰のものを挙げるとすると、ユーミンの《日本の恋とユーミンと》だと思います。(この《日本の恋とユーミンと》も、奇しくもユーミンの40周年記念です)

しかしながら、ユーミンのベストと竹内まりやのベストでは、決定的に違う点があります。
それは何か??
ユーミンのベストアルバムを聴くと、みなさんどんな気持ちになりますか?
「あ〜懐かしいなぁこの曲…..この曲が流行ってたころ、私は何歳で、どこにいて、どんな生活をしてどんな恋愛をしていたっけ….」
と、自分のことを思い出すでしょ?
つまり私たちはユーミンの曲の時系列のアルバムを通して自分の人生のアルバムを振り返っているわけです。
「ユーミンってすごいな」とは思わないでしょ?
「ユーミンって、私の人生のそばにいつもずっといてくれたんだな」と感じるはずです。
決してユーミンが主人公ではありません。あなたが主人公です。
それでいいんです。
これがユーミンの音楽の素晴らしいところです。
ところが竹内まりやのベストアルバムを聴いても、自分の人生を振り返る人って、実はそんなにいないと思います。
竹内まりやの楽曲は、そんなに時代時代であなたに寄り添ってきているわけではないからです。
つまり、ユーミンよりも竹内まりやのほうがより「作家」なんですね。
《Turntable》からもっとも強く感じるのは竹内まりやの作家としての40年のキャリアのものすごさなのです。
特に歌詞がすばらしいのです。さすが岩谷時子賞を受賞しただけあります。
というわけで、これからいくつかの楽曲を、歌詞とその世界観に焦点をあてて紹介していこうと思います。
〜〜つづく〜〜